正社員会社員はただでさえ1日8時間以上の就業時間を勤務先の仕事に費やし、その大多数は上司の指示に従順に動いたり、自身の希望と異なる部門異動・業務担当をさせられたり、長時間サービス残業や休日出勤を強要されたりと、自身の思い通りにならずにストレスが溜まり、自由な時間の確保も難しいことも有る。
このような環境に有る中で正社員会社員が副業・兼業・複業をするには、その前段階から精神的・肉体的に副業・兼業・複業に取り組む余力が無く、自身の希望しない勤務先業務に日々の大半の時間を消耗している現状に苛立ち、なかなか難しいのは当然のことである。
しかしながら、そのような状況下でも副業・兼業・複業をしなければ、自身の未来を切り開くことはできない。それならば、勤務先業務の精神的負担を軽減したり副業・兼業・複業に相乗効果(シナジー効果)をもたらしたりすることで、勤務先業務のマイナス(-)要素を軽減もしくは少しでもプラス(+)要素に転換するように取り組み、前向きかつ未来に希望を持って邁進していけば良い。
以下にそのための方法(精神の在り方)を列挙する。
【方法1】勤務先業務を自身が希望しない業務でも最善・最速で遂行する訓練の場と捉えて取り組む
自身の希望と異なる部門へ配属・異動等をされることで、自身が希望しない業務を担当させられることも有る。特にこのような場合は、自身の意欲が沸かないばかりか、副業とは直接活かされない業務内容の場合はこのような仕事を辞めて副業を本業にしたい、というような魔が差すことも有ろう。
このような時は、”自身の意識下では”勤務先業務を「自身が希望しない業務でも最善・最速で遂行する訓練の場」と捉えて、1つの挑戦やゲームだと割り切って取り組めば、気持ちも楽になる。
そして、この「自身が希望しない業務でも最善・最速で遂行する訓練」を重ねれば、それは自身の副業を最善・最速で遂行することにも活かせることは間違い無い。少なくとも、業務遂行速度の向上や、業務遂行のためのいくつかの方法論は習得できていることは間違い無い。
さらに、この姿勢で業務に取り組めば、膨大な業務をやらされて長時間残業となる場合にも、少なくとも漫然と業務遂行するよりは業務を早く終えて退勤できる。
【方法2】不規則時間の勤務を強いられた場合は、それを逆手に取って有効活用する
これまでは平日日中(例:9:00~18:00)勤務だった正社員会社員が、人事異動で深夜勤務・土日祝日勤務・シフト勤務(不規則時間勤務)・遠距離通勤の部門への異動や、転居を伴う転勤をさせられることも有る。
このような人事異動をされた時は、これまでの生活習慣が大きく変わることになるため、それ自体が精神的負担になるばかりか、副業をするための時間の確保にも影響が出ることも有る。
こういった時は、確かにこれまでの生活リズムを大きく変えざるを得ず、苦痛に感じるのは当然のことである。その一方で、一歩引いて冷静にその状況を見ると、一概に不都合な面のみではなく、見方を変えれば良い方向に逆用できることも有る。例えば、日本株式取引(取引時間:9:00~15:00)をしている正社員会社員で、これまで9:00~18:00であった就業時間が人事異動で22:00~翌7:00になったとしたら、確かに深夜勤務で一般的な日中生活ができなくなるが、7:00には仕事が終わるため、仕事後の9:00から取引開始となる日本株式取引に専念できる。また、7:00に仕事が終わるため、平日日中勤務の場合は有給休暇取得等しないと行けない銀行や公的機関(市区役所等)に自由かつ頻繁に行くことができる。こういった見方をすれば、この深夜勤務も悪いない。
このように、嫌な事も逆手に取って取り組めば、自身の意識も前向きにできる。
【方法3】正社員会社員という職歴自体が自身のリスク分散/軽減をしてくれている恵まれた現状を改めて自覚する
自身にとって不都合な状況に直面した時は、得てして自身の恵まれている環境には目が行かないものである。しかし、たとえ自身の希望と異なる部門異動・業務担当をさせられたとしても、自身が正社員会社員であることに変わりは無い。
副業・兼業・複業をする場合は、基本的には個人事業主か自身が設立した法人の代表取締役として行うが、こういった個人経営の業務経験は一般的には正社員会社員としての中途採用市場では評価されない。従って、正社員会社員ではなく個人経営一本の環境に身を置くと、正社員会社員に返り咲くことは難しくなる。
その一方、日本国では、正社員会社員を現職として継続していれば、個人経営一本の個人事業主に比して、他社の中途採用試験に応募して採用され易いのは間違い無い。
つまり、正社員会社員と副業・兼業・複業を両立していることは、自身を不安定な環境に身を置いたり選択肢を狭めたりするリスクを分散/軽減していることに他ならない。
そう考えれば、勤務先の業務や待遇に多少の不満が有ろうとも、正社員会社員がその反面で精神安定剤にもなってくれる。
【方法4】勤務先の汎用的な社内情報を副業に活用する
前置きしておくと、勤務先との「競業避止義務」「企業機密保護」「個人情報保護」等の法令は遵守しなければならない。
しかし、例えば社内通達メール等の情報で「①所得税法の○○の事項が△△に改正され、本年の年末調整と確定申告の手続が△△になりました。」「②令和2年4月1日付で会計基準が改正されたため、従来の■■の経理処理を◇◇のようにすることとなりました。」といった類の前者周知がされることが多々有り、これらの情報自体は、その勤務先固有の機密情報ではなく、社会全般に共通の情報である。
そして、個人事業主として副業をする正社員会社員にとって見れば、これらは副業でも適用される情報である。例として、上記①は、個人事業主としての副業に関する確定申告に影響が有り、上記②は副業の経理処理にも同様の変更が必要になる。こういった情報を全て自ら収集することは活動的で結構なことだが、1人でやっていてはこういった重要情報を全てキャッチアップすることができないことも有り得る。
これを客観的に見ると、勤務先の社内通達メール等の情報自体が、副業に活かすことができるのである。こういった社内通達メール等を自身の副業のための情報提供ツールとして活用すると、勤務先業務と副業の両方に活かせて一石二鳥である。正社員会社員としての自身の置かれた環境を有効活用しよう。
【方法5】明らかに勤務先が労働法令等に違反していると考えられる場合は「弁護士」「法律事務所」「労働基準監督署」「総合労働相談コーナー」へ相談する
正社員会社員として勤務していると、人事異動・担当業務・職場環境等で明らかに不当・不法な扱いを受けることが有る。
そのような場合は、状況が悪化する前に積極的に「弁護士」「法律事務所」「労働基準監督署」「総合労働相談コーナー」へ相談すると良い。
そうすれば、勤務先で自身が置かれた状況の解決策の助言を受けたり、場合によっては勤務先への改善要求や裁判で職場環境の改善に協力してもらうこともできる。
そして、対勤務先に関してのみならず、副業を個人事業主か自身が設立した法人の代表取締役として行っている場合は、逆に副業において法令遵守できているかを自己点検する必要が有るが、その際にも「弁護士」「法律事務所」「労働基準監督署」「総合労働相談コーナー」を活用するのも有である。
「正社員会社員」としても「副業をする個人事業主/代表取締役」としても、「弁護士」「法律事務所」「労働基準監督署」「総合労働相談コーナー」という存在を頭の片隅に置いておくだけで、いざという時に柔軟な対処ができる。
なお、一例を挙げると、「労働基準監督署」「総合労働相談コーナー」は、東京都でいえば下記リンク先が該当する。
○東京労働局 労働基準監督署
URL:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/kantoku/list.html
○東京労働局 総合労働相談コーナー
URL:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/roudoukyoku/kanren_shisetsu/annai.html
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